南木曽岳を行く
紅葉の吟行を楽しむ

記:富田(征)
04年10月23日(土)
メンバー:リーダ−他6名

「なぎそ」とか「こすも」とか名前だけで魅力を感じる山がある。耳触りがよく、「一度は行きたいな」と憧れが膨らんでいた。

Mさんに、「11月のある日、ある山に行かないか」とメール入れたところ、逆提案をされ、「南木曽岳を計画している。少し紅葉に早いかもしれないが、紅葉山行を計画している」とのこと。折り返し「行きましょう」と回答した。

紅葉山行は、私にもう一つの楽しみを加えてくれる。いうまでもなく、俳句の句材にことかかないからである。

メンバーの中に今年入会した青年のHさんの参加は、私を多いに楽しませてくれた。勿論、山行中に彼との句合戦が出来た事である。

ルートは、256号線から南木曽キャンプ場をめざし、さらにアララギ山荘を過ぎて、かなり奥まで車が入れる。もう既に10台ほどの車が止まっていた。少しひんやりする。山は完全に、秋の気配である。
 
・ 晴切って木曽路はかくも紅葉冷

登山口からしばらく行くと左登山道、右下山道とある。登りはさすがに、急峻な岩場があり、鎖までとりついている。下山に、このルートはやや危険が伴うかも知れない。標高600m当たりではそれほどの紅葉はしていない。やはり紅葉には少し早すぎたか。
 
・ よく見れば南木曽の山も紅葉せり


しかし登るに従い、赤や黄の綾なす紅葉山になってくる。「美しい、きれいだ」の声が皆の口から自然に出てくる。自然は実に素直です。正直です。標高が上るに連れて見事な紅葉です。
 
・ 標高の違い紅葉の色違ふ(たがふ)
 
その中で紅葉を一層引き立たせるのが、木曽五木のひとつコウヤマキの緑をたたえた、巨木である。さらに大きな葉を裏返して、白さがひときは目立つ朴の葉である。ところどころ「ツガの木」であろうか、立ち枯れて、白骨のごとく寒々と天を突き刺す巨木がある。

・ 紅葉の中に巨木のこうやまき
・ 朴の葉の裏表見せ落葉せる
・ 立ち枯れてとてもツガの木とは見へず


少し目を展ずると、真赤に紅葉したななかまどであろうか。中に真赤な実までつけているのがある。

・ 遠目にも見ゆななかまど実の赤し


2時間30分も歩けば、山頂に着く。山頂は樹木の中で展望はよくない。
下山道方向に少し進んだ辺りから大展望台が開けてくる。
ここからは、御岳、乗鞍岳、穂高連峰、南アルプス、中央アルプスが見事にみえる。
振り向くと今きた、山頂の周辺は花崗岩の風化した大きな白い石、それに熊笹が絶妙に組み合わさって素晴らしい大自然の庭園が広かる。
Hさんが、課題句を私にぶつける。あの熊笹を詠んで下さい。Hさんとのこんなやり取り、さらにHさんも句を作っている。それは指を折っている動作で分かる。「俳句っておもしろいね」頼もしいです。

・ 秋風に押され笹の葉波を打つ

大展望台からの眺めは自然が、句を提供してくれる。

・ 御岳も乗鞍岳も秋日和
・ 初雪や御岳天に揺るぎなき
・ 初雪や北アルプスの嶺々(ねね)が呼ぶ


下山道が中々の急降下である。親切に木の梯子がいやというほど取り付いている。こんなとこまでと思う箇所まである。逆にないほうが歩きやすいくらいです。しかし沢の瀬音を聞きながらの下山は退屈しません。秋の水は澄んだ音色です。秋の水は特に俳句では、「水澄む」とか「秋水」とかいいます。まさにその通りです。秋水がこだまして澄んで聴こえてきます。

・ 谷紅葉貫く瀬音ありにけり
・ 秋水の音色友とし山下る
・ 深み行く秋を南木曽の風に聴く
・ 渓(たに)をゆく限り落葉の道なりし



時間的にもゆとりがあり、下山後南木曽温泉、さらに馬篭の宿で蕎麦を頂くことができた。

・ 薄紅葉背にし南木曽の檜風呂

馬篭宿までの道中よく見ると紅葉がかなり進んできています。一雨ごとに、さらに一冷えごとに一気に紅葉していくことでしょう。

・ 紅葉山一気に越えて馬篭宿
・ ひと雨の秋の色足す木曽路かな


馬篭宿の蕎麦は本当に美味しかった。新蕎麦の味がします。

・ 南木曽岳新蕎麦で山終へにけり (新蕎麦は10月の季語です)

本当に楽しい充実した山行が終わりました。
02年の夏合宿は木曽駒ケ岳から空木岳縦走をしました。
次に空木岳、南駒ケ岳、越百岳の縦走を企画したいと夢が膨らんできました。


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